ストレスと免疫

ところが、そのガン担当のNK細胞にはストレスに大変弱いという性質があります。

NK細胞の機能は肉体的ストレスばかりでなく、精神的ストレスの影響も受けている環境では低下してしまい、本領を発揮することが出来ません。ストレスは、あらゆる方向から免疫細胞の機能を低下させます。

ガン患者の発病までの経緯を調べると、その70%の人に過去数年にわたるストレスや過労、悩み、薬の常用が見られます。

 

その理由には、体調を調節するホルモンであるステロイドホルモンが影響しています。

ストレスは脳の視床下部という部分を刺激し、脳から副腎に信号が送られ、ステロイドホルモンを分泌し、免疫細胞に作用をします。

このステロイドホルモンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、生理的には早朝起床する前に分泌されるので、この刺激によって目が覚め、日中の交感神経優位の時の体の状態をつくり出そうとするのです。

そして、このステロイドホルモンは突然に大量の出血をするなどの異常時や、血圧が急激に下がったショック状態の時などのような体の緊急時にも大量に分泌されます。

それは、このようなときにステロイドホルモンの作用で血管は収縮して血圧は上昇し、そのショック状態から脱出しようとするのです。朝起きるときのメカニズムも同じです。要は覚醒しようとするのです。このようにして、体はステロイドホルモンの働きで緊急事態を乗り切ろうとして、交感神経を極度に緊張させてステロイドを分泌します。

そして、すべての体の反応はこの緊急事態に対処するために総動員され、それ以外の活動である、ガンを治すリンパ球の免疫反応も止まってしまい、毎日何千もできる、ガンに対する攻撃は他の免疫活動とも一緒に中断されてしまうのです。

その上、人間の体は、ストレスが長く続いた場合、それを何とかしようとして、副腎からショックを和らげるステロイドホルモンを分泌し続ける仕組みになっているのです。

さらに、免疫力低下は身体の異常細胞を察知する力も落としてしまいます。こうなるとガン細胞はNK細胞に攻撃されることなくどんどん増殖していくのです。又、自律神経のバランスを崩すストレスは、不眠や食欲不振、血行不良などを起し、栄養が身体全体に回らなくなるだけでなく、血流とともに全身をめぐるリンパ球も満足に循環できなくなり、さらに免疫力を低下させるという、悪循環を招きます。

リンパ球を培養するとき、その培養液の中にステロイドホルモンを入れてその働きを調べて見ると、リンパ球の活性は停止し、そればかりか、量が多いと培養していたリンパ球が死んでしまいました。

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