HEALTH

体の調節役「自律神経」

私たちの体のあらゆる機能(血圧、血糖、呼吸、消化管、汗の分泌、体温調節など)は、自律神経で調節されています。自律神経は、私たちが意識しなくても働く神経なので、体を整えるためにはまず、この自律神経の働きを考慮することが重要になります。その構成はとても単純で、「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経のバランスで成り立っています。交感神経が働くとエネルギーを消費する活発な体調になり、副交感神経が働くとエネルギー消費を抑制したり蓄積したりする休息の体調になります。なので、生活習慣や考え方などでどちらかが優位になりすぎてしまうと、体調が崩れてしまうわけです。もともと人間のメカニズムとして、誕生から青年期あたりまでは副交感神経が強く働きます。これは、副交感神経が体の成長を促す働きをするからです。そして20~40歳あたりはバランスのとれた時期、さらに50歳あたりからは、交感神経の働きが強くなり、血圧が高くなったり肩こり、腰痛、関節の変形や痛みなどが出てきます。このような加齢や老化のほとんどは、交感神経の働きすぎの可能性が高いのだそうです。

次に、自律神経の働きがどのように体と心に作用しているかを見てみましょう。

<交感神経>

交感神経の働きは、心や精神面においては、やる気が沸いて意志力が強く、集中力も高くなります。しかし働きすぎると、物事にとらわれ興奮し、周囲が見えなくなってしまいます。体においては、活力があり筋肉質であり、便通は少なくなります。しかし働きすぎると、緊張して筋肉がこわばり、便秘がちになってしまいます。このような交感神経の働きすぎの状態が続くと、癌、胃炎・肺炎などの炎症、多汗、耳鳴り、不眠、食欲減退、肩こり、腰痛、神経痛、歯槽膿漏、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、冷え性などの病気や症状があらわれます。

<副交感神経>

副交感神経の働きは、心や精神面においては、穏やかで物事に良く気がつきますが、働きすぎると心の迷いや過敏、情に流されてしまう症状がでます。体においては、ゆったりして筋肉も柔らかく、便通も多くなります。しかし働きすぎると、無気力でだるく、下痢になってしまいます。このような副交感神経の働きすぎの状態が続くと、様々なアレルギー(くしゃみ、鼻づまり、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症、リュウマチなど)や、胃潰瘍、偏頭痛、生理痛、疲労感、めまい・立ちくらみ、気力の減退、むくみなどの症状があらわれます。

女性ホルモンと自律神経

大脳の視床下部というところが交感神経と副交感神経の働きを支配する「自律神経」をコントロールしています。この視床下部のすぐ近くにある脳下垂体では様々なホルモンを分泌していて、視床下部はこの脳下垂体もコントロールしているのです。逆に視床下部がホルモンの影響を受けることもあるため、ホルモンの変化のリズムが自律神経の働きにも影響を及ぼします。ホルモンのバランスが不安定になると、それにつられて自律神経のバランスも不安定になってしまうのです。男性の場合は、思春期に性ホルモンの分泌が高まり、以降は初老期まで比較的安定していますが、女性の場合、思春期…ホルモンの分泌が増え初潮をむかえる、成熟期…ホルモンの分泌は安定するが、妊娠・出産により大きく変化する、更年期…ホルモンの分泌量は増えたり減ったりと不安定になり、減少して閉経をむかえる、といったように、一生を通じホルモンが変化し続け複雑なのです。 ホルモンの分泌量が不安定になると体調も不安定になります。その結果、自律神経のバランスが崩れてマタニティーブルーや更年期障害などに陥ることがあるのです。

なぜアレルギーになるか?

サークルスタッフの中にも花粉症を持ったスタッフがいて、最近やっと治まってきたところですが、花粉症をはじめとするアトピー性皮膚炎や気管支喘息といったアレルギー疾患は、年々増加しています。もともとは子どもに多い病気なのですが、近年では大人になっても治りきらなかったり、大人になってから発症する人も多く、問題となっています。このようなアレルギー疾患の人は、体内のリンパ球が多すぎる傾向にあるようです。

リンパ球は副交感神経が優位になると増えます。リンパ球が増えすぎると、わずかな刺激や異物に対しても過敏に反応し、アレルギーを起こすことになります。都会っ子や現代っ子は特に、この副交感神経優位の人が多く、これがアレルギー疾患の人が増えている原因となっています。

現代人は清潔で、空調などで温度管理をされた快適な部屋で暮らし、飽食と呼べるほど豊かな食生活を送っています。交感神経を活発にさせる紫外線に適度にあたることも減っています。交通手段やエスカレーター、エレベーターの普及で歩くことも少なく、運動不足にもなっています。排気ガスによって炭酸ガスが増えていることも副交感神経優位に働きます。夜更かし型でメリハリの少ない都会の生活は自律神経を乱し、副交感神経優位人間にさせてしまいます。このような都会型の甘やかされた生活が、アレルギー疾患を助長させているのです。

また、テレビCMでも消臭・殺菌剤が盛んに宣伝されていることからも解るように、現代人はあまりにもクリーンすぎて、周囲のちょっとした雑菌ですらすぐに殺菌します。その結果、体内に侵入する抗原が激減し、ばい菌と戦うリンパ球の活躍の場が奪われてしまいました。そしてその矛先が本来なら無害の花粉やハウスダストへと向いて過敏反応を起こすようになってしまったのです。滅菌・殺菌という公衆衛生上の過剰な防衛が、人の身体の免疫システムに影響をきたしています。

あまりにも便利で、あまりにもきれい好きな生活習慣がこの様なアレルギーを引き起こす一因になっているのです。青っ鼻をたらしながらどろんこになって遊んでいた昔の子どもたちを、少し見習ってもいいかもしれませんね!

健康の源は血流から

テレビの健康番組でも良く耳にする「血液サラサラ」という言葉のとおり、健康維持や美肌、頭の回転を良くするには、血液の流れを良くすることが大事です。栄養や酸素を多く含んだ良い血液を全身にめぐらせ、老廃物を含んだ血液を流れ出すような血液の入れ替えがスムーズに行われることにより、自然治癒力を高めて病気予防をすることが出来るのです。この血流を良くするのに有効な手段は、適度な運動はもちろんですが、「足湯」もとても注目されています。温泉地に出かけてみても、この「足湯」のできるスポットをよく目にするようになりました。確かに足をつけているだけで全身がポカポカして暖まった経験を思い出します。これほど効率よく簡単に出来る療法はなかなかないですよね。

家庭でも手軽にできる足湯の方法は、両足が入るバケツとお湯さえ用意できればいいわけですが、基本的な時間としては20〜40分間で、温度は足し湯をしながら徐々に上げるのが効果的です。湯温や時間設定は、自分の体調を考慮してすることが重要です。交感神経が働きすぎているときは、ほんのり汗をかくくらいの足湯を30分ほど行います。副交感神経が働きすぎているときは、たっぷり汗をかく熱めの足湯を20分ほど短めに行うと効果的だそうです。

<冷え性と足湯>

女性は特に、冷え性で悩んでいる方が多いのではないでしょうか。なんと、冷え性の世界共通の治療法は「足湯」なのだそうです。東洋医学で冷えの治療によく使われる経路は、足の小指にある「腎経」と「膀胱経」で、この経路の流れが良好になると冷えは解消しやすくなります。婦人科疾患は、自律神経のバランスの崩れによる「冷え」が大いに関係しています。クヨクヨ悩んだり、イライラする生活が続いたりして悪いストレスをため込んだりするような、交感神経の働きすぎの生活を送っていると、更年期障害や不妊、腫瘍が発生するといわれています。また、ストレス解消といって食べ過ぎや甘いものの過剰摂取などを続けていると、副交感神経の働きすぎになり、生理痛、倦怠感、偏頭痛などが発生してしまいます。この様な自律神経のバランスが乱れたときは、前に述べたような体調に見合った「足湯」をすることで、心と体をコントロールできます。

日光浴のススメ

地球上のほとんどの生き物は、太陽のエネルギーを受けて生きています。人間も例外ではありません。新潟大学大学院医歯学総合研究科教授で免疫学者の安保徹先生の著書の中にこんなことが書いてありました。人間は地球の様々な地域に適応して生きているので、太陽エネルギーへの適応も違っているというのです。例えば、黒人は、赤道付近の太陽光の強い地域に適応した人種です。逆に白人は、太陽の弱い地域に適応した人種だそうです。近年、アメリカやオーストラリアに住む白人の間で紫外線からなる皮膚ガンの増加や危険性が取り上げられています。本来は、ネイティブアメリカンやアボリジニーといった原住民が適応して住んでいた太陽光の強い地域ですので、白人は紫外線に対して特に注意が必要だということです。そして日本人は、黒人と白人の中間的存在ともいえる黄色人種です。なので、紫外線に当たると体に悪いという白人の考えには当てはまらず、むしろ太陽に充分に当たることが日本人の健康法といえます。実際、日に当たると血行が良くなり皮膚の輝きも増してきます。また、紫外線は骨をはじめとする運動器を丈夫にするので、日光に当たって過ごしている人は健康度が増します。特に、子どもが日光に当たらない生活を続けていると、色白で体がひ弱になり、副交感神経優位の体調になってしまいます。これは、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくを発症する体調になってしまうということです。太陽の下で元気に遊ぶことが、アレルギー体質からの脱却の道になるということがいえます。健康維持のためには、太陽に当たることが大切なのです。特に、朝起きて浴びる太陽の光は、体内時計を正常に戻してくれます。これにより、夜もスムーズに寝付くことができるようになります。体内時計が生活リズムを刻んでいるのです。

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